『ファニーとアレクサンデル』(1982年)
窓の外は雪。暖炉ではパチパチと薪がはぜ、クリスマスツリーの足元にはカリグラフィーやモノグラムに彩られた、思いやりと愛情に満ちた贈り物が山と積まれて……。
最初にご紹介する『ファニーとアレクサンデル』は、100年以上前のスウェーデンが舞台。クリスマス・イブにアレクサンデルがろうそくに照らされた人形劇場で遊ぶシーンで幕を開けます。
『ファニーとアレクサンデル』は、現実の厳しい大人の世界から子ども時代の楽しい思い出への逃避、“祈り”としての歓喜、あるいは理想的な人生を再現する力を持つ映画そのものに捧げられた賛歌でもあります。
アレクサンデルの人形劇場の上部を飾るのは、「Ei blot til lyst(単なる楽しみのためではなく)」というデンマーク語の金言。