
「ネリー・ブライとめぐる世界一周」(1890年)
80日間、世界一周を成し遂げた女性記者ネリー・ブライの功績を讃えて制作されたアメリカのボードゲーム
「良い旅人は決まった計画を立てず、到着することにこだわらない」。これは中国の春秋時代の思想家、老子が『道徳経』に記した言葉です。
それから時代は下り、時は19世紀。フランスの小説家ジュール・ヴェルヌは“スピード時代”を生きる未来の旅人を考案し、老子とはまったく異なる旅行観を打ち立てました。
旅人の名はフィリアス・フォッグ。『八十日間 世界一周』(1872年)に登場する英国人紳士です。物語の舞台は、19世紀後半のロンドン。「80日間あれば世界を一周できるかどうか」という議論からはじまります。「できる」と主張したフォッグ氏は、“改革クラブ”の友人たちと2万ポンドの賭けをすることに。
1872年10月2日にロンドンを出発し、80日後の同じ時刻に帰還することを約束し、フランス人の召使い、ジャン・パスパルトゥーを従えて出発します。ロンドンを発ったふたりは、蒸気船と汽車を乗り継ぎながら、スエズ運河、ムンバイ、カルカッタ、香港、横浜、サンフランシスコ、ニューヨークを経て、約束の時間に無事帰還。賭けに勝利したのでした。
『八十日間 世界一周』はフィクションですが、実際にこの偉業を達成した人物がいました。米国人女性記者のネリー・ブライです。なんとブライは1890年に72日間で世界を一周し、フォッグ氏の(架空の)記録を塗り替えたのです。
ブライが訪れた先々で書いた記事は世界を駆け巡り、人々を熱狂させました。そんな彼女の訪問を記念して、「ネリー・ブライとめぐる世界一周」と銘打ったボードゲームがニューヨークで制作されました。それから105年後の1995年、超音速旅客機「コンコルド」がたった31時間で世界を一周し、ブライの記録を更新しました。
と、ここまでは“速さ”の話をしてきましたが、より充実した旅をするには、時間をかけることをおすすめします。そのほうが、まだ見ぬ景色に秘められた“宝物”と出合える確率も高くなるからです。
〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉も、私たちが誇る唯一無二の美容道具のコレクションとともに、時間をかけて世界を旅することに情熱を注いでいます。
〈ビュリー〉が展開している何百種類もの櫛、ヘアブラシ、バスグッズ、フェイスブラシ、歯ブラシ、カミソリなどはすべて、優れた品質という基準にもとづいて選ばれています。世界中を旅しながら、熟練の職人が丹精込めて作った美容道具だけをセレクトしているのです。
今回のニュースレターでは、皆さまを8つの国と、フェイス・ボディ・ヘアの美しさだけでなく、しぐさの美しさまで叶えてくれる20の美容道具を紐解く世界旅行へとお連れします。
「私はどこかへ行くためではなく、
ただ進むために旅をする。
旅をするのは、それが楽しいからだ。
大切なのは、進むことだ」
『ロバと旅するセヴェンヌ』(1879年)
ロバート・ルイス・スティーヴンソン






