コンテンツに進む

イリス・ドゥ・マルトの香り、清潔なリネンの遠い記憶

店舗リスト BULYTHÈQUE スキンコンシェルジュ
Search Wishlist

美は鏡から生まれる 名作映画に見る美容道具の世界

『ロバと王女』ジャック・ドゥミ監督
(1970年)のカトリーヌ・ドヌーヴ


モデルで歌手のニコは、1966年にヴェルヴェット・アンダーグラウンドと発表した名曲「I’ll Be Your Mirror」で、“あなたの鏡になって、あなたを映し出してあげる/信じられない/あなたが自分の美しさに気づいていないなんて”とスタイリッシュに歌いました。

多くの人にとって、自分が美しく見えるかどうかは大いなる関心ごとではないでしょうか。

ベルエポックの時代を生きたパリジェンヌが認めた文章や、美にまつわるアドバイスをまとめた〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉の美の指南書『美しくある秘訣』は、長所はもちろん、短所も含めたありのままの自分を受け入れる勇気を与えてくれる一冊です。

堂々と自分らしさを受け入れ、エスプリを効かせてアイデンティティーとして昇華させることこそ、パリジェンヌの美しさの究極の秘訣なのかもしれません。


「美の追求とは
すべての瞬間に気を配ることです」
『美しくある秘訣』より

 

セルフケアに欠かせない鏡。それは見方次第であなたの友人とも敵ともなる可能性を秘めています。

おとぎ話に出てくる魔法の鏡は、真実や未来、死後の世界を映し出します。

現実世界では、古今東西を問わず、女性の寝室には、化粧をしたり、身だしなみを整えたりするのに欠かせない家具として、鏡台が置いてあります。

さらに鏡は、無意識を映し出したり、私たちを自己愛の罠に陥れたりすることもあれば、他者の視線や欲望に満ちた無慈悲な、あるいは安堵感を与えてくれる“額縁”にもなります。

このニュースレターでは、迷路の出口を示すアリアドネの赤い糸のように、さまざまな名作映画に登場する鏡を辿りながら、“鏡の迷宮”の謎を解き明かしていきましょう。

「鏡は美学と調和の教師です」
『美しくある秘訣』より

『ピクニック at ハンギング・ロック』ピーター・ウィアー監督(1975年)

ベルエポック時代の美の指南書

ベルエポック時代のパリジェンヌの美に対する考え方をもとに〈ビュリー〉が編纂した書籍『美しくある秘訣』。

パープル(日本語版)、ライトブルー(英語版)、ワインレッド(仏語版)の表紙に眩いエンボス加工が施された装丁が美しい、魅惑に満ちた一冊です。

そこには鏡に捧げられた章があり、好感と親しみを持って自分自身を受け入れるためのヒントが収められています。

このほかにも、パリジェンヌの魅力やコケットリー、装いや身だしなみ、美しいお肌のための基礎知識やレシピ、バスルームのレイアウト、香りの纏い方、スキンケアやメイクのコツなど、美にまつわる様々なアドバイスが散りばめられています。

エレガンスを象徴する絶対的な存在であると同時に、計算し尽くされたエフォートレススタイルの天才であるパリジェンヌは、時代と国境を超えて、あらゆる女性たちの憧れの的です。

19世紀末〜20世紀初頭を生きたパリジェンヌによる原文を忠実に再現した本書は、当時の人々の批判的思考や良識を明らかにする一方で、20世紀の間に世界中の女性誌を通じて浸透していった“好かれる”ことへの執着に着目しながら、読者に疑問を投げかけます。

前時代的な洞察力と情熱を込めて美について語る本書を鏡のような視点を持って読み解くことで、現代の私たちが得たものが明らかになるはず。

その一方で、その背後にあるものが映し出され、現代社会が抱える矛盾が浮き彫りにされるでしょう。

「美とは、鏡に映る自分自身を見つめる永遠である」

『預言者』ハリール・ジブラーン(1923年)

『スウィーティー』ジェーン・カンピオン監督(1989年)

鏡、それは美容の宝

「撮影のときは、自分の姿がよく見えるように、いつもカメラのそばに大きな鏡を置いています」と語ったのは、20世紀を代表する女優のひとりであるマリリン・モンローです。

彼女は女優として外見だけに限らず、ひとつひとつの動作や行動すべてをコントロールすることで自身のイメージの上に神話を築き上げました。

実際に彼女を撮影した映画監督たちは、プラチナブロンドの髪や流麗なアイライン、透き通るような白い肌を持つ彼女の美しさは光り輝き、超自然的だったと語っています。

ノーマ・ジーン・ベイカー(モンローの本名)として不幸な子供時代を過ごした彼女がブロンドのスーパースター、マリリン・モンローとして生まれ変わるには、並々ならぬ日々の努力と膨大な時間が費やされたことでしょう。

ジェーン・カンピオン監督の長編デビュー作『スウィーティー』(1989年)の主人公は、スターを夢見る風変わりな少女スウィーティー。

彼女は、鏡の中にしか理想の自分を見出すことができず、エキセントリックな厚化粧に熱中し、周囲を振り回しながら成長していくうちに、家庭を崩壊させてしまいます。

ほかにもメイクのシーンといって連想されるのは、トム・フォードの監督デビュー作『シングルマン』(2009年)のワンシーン。

同性愛者の親友に恋をしてしまうチャーリーに扮したジュリアン・ムーアの演技が観る人の心を打ちます。

テレビ番組のオーディションに挑戦するティーンエイジャーのトレイシーがカラフルな装いで鏡に向かうシーンが印象的なのは、ジョン・ウォーターズ監督の青春映画『ヘアスプレー』(1988年)。

トレイシーの物語を通して人種差別の問題を描いたこの映画は、いまもカルト的な人気を誇ります。

(左)『ヘアスプレー』ジョン・ウォーターズ監督(1988年)(右)『シングルマン』トム・フォード監督(2009年)

「私にとって映画監督とは、
人間を見る人のことです。
人間の行動について語ることではありません。
それは見つめることなしには
顔に化粧が施せない、
鏡のようなものかもしれません。」


ジェーン・カンピオン

『白雪姫』ウォルト・ディズニー製作(1937年)

魔法の鏡

おとぎ話の世界では、鏡は魔法の道具の代表格です。

グリム兄弟の童話『白雪姫』は、真実を語ることを強いられた鏡から悲劇が始まります。

ウォルト・ディズニーは、この童話をもとに製作した1937年の初の長編アニメーション映画に登場する、美に執着する女王のキャラクターを女優のジョーン・クロフォードを念頭に造形したと言われています。

フランスの詩人ジャン・コクトーが脚本・監督を務めた『美女と野獣』(1946年)では、鏡はヒロインを導くために幻を映し出す道具として描かれています。

ジャック・ドゥミ監督の『ロバと王女』では、実の父である王に結婚を迫られて逃げ出した王女の父親への反抗心と、彼女に恋をする王子の姿の両方が鏡に映し出されます。

「鏡よ鏡、
世界で一番美しいのは私だとお言い」

『白雪姫』グリム兄弟(1812年)

〈ビュリー〉では、書籍『美しくある秘訣』の中で以下のように絶賛されている、エレガントかつ必要不可欠な美容道具である手鏡をご用意しています。

新登場となるアイボリーカラーも加わり、バッグに忍ばせるのにぴったりの愛らしい友をお手元に。

アセテート製手鏡には、持ち主の名前やイニシャルを刻印することもできます。

「手鏡ほど親密ではないかもしれませんが、やはりあなたの友となり付き添ってくれるなくてはならないものは、ハンドバッグや化粧ポーチに忍ばせておく小さな鏡です。

小さな鏡は、自分の家の外で突然私たちが鏡の助言が必要になった際、ゆっくり鏡を眺める状況にないときこっそりアドヴァイスを授けてくれます。

どんなに小さくてもいいから、ポケットサイズの鏡を常に持っていてください。鏡を一瞥することは、しばしば真の助け、支援、または警告をもたらしてくれます。時として思いがけない原因から多くのことが起こりうるのです」

『美しくある秘訣』日本語版「第一章 鏡」より

(左)『欲望のあいまいな対象』ルイス・ブニュエル監督(1977年)のアンヘラ・モリーナ(右)『上海から来た女』オーソン・ウェルズ監督(1947年)

鏡とファム・ファタール

両義的で時に危険を象徴する鏡は、敗北を明らかにすることもあります。

それをよく表しているのが、18世紀のフランスの士官で作家のピエール・ショデルロ・ド・ラクロの書簡小説をスティーヴン・フリアーズ監督が脚色した『危険な関係』(1988年)のワンシーン。

グレン・クローズ演じるメルトゥイユ侯爵夫人がオペラ座で恥をかかされた後、自宅で化粧を落とす絶望感に満ちた表情が鏡にクローズアップされます。

二つの顔を持つ、若くて魅力的なコンチータに拒絶されながらも夢中になってしまう初老の男の姿を描いた『欲望のあいまいな対象』(1977年)でルイス・ブニュエル監督は、キャロル・ブーケとアンヘラ・モリーナという二人の女優をコンチータ役に起用しました。

そうすることで、女性の顔そのものを欲望の対象と捉えることの不可能さを表現しようとしたのかもしれません。

オーソン・ウェルズ監督の『上海から来た女』(1947年)では、監督自身が演じるアイルランド人の主人公が彼を誘惑するブロンドの妖婦エルザ(この映画のためにリタ・ヘイワースはトレードマークである赤毛をばっさりと切ったそうです)と情熱的な恋に落ちます。

遊園地のミラーハウスが舞台のラストシーンで主人公は、鏡に映る虚像をひとつひとつピストルで撃ちくだきます。

このシーンの鏡は、正義と悪、幻想と人工の反転したイメージを映し出すと同時に、別世界への入り口を示しているかのようです。

「刀は武士の魂、鏡は女の魂」

日本のことわざ

(左)『ブラック・スワン』ダーレン・アロノフスキー監督(2011年)のナタリー・ポートマン (右)『マルホランド・ドライブ』デヴィッド・リンチ監督(2001年)

鏡と無意識

古代ギリシャからハロウィン前夜の結婚占いに至るまで、「カトプトロマンティア」という鏡を使った占いは、何千年もの間、権力者に仕える魔術者や占い師たちによって行われてきました。

フランスの摂政女王カトリーヌ・ド・メディシスのお気に入りの占星術師コジモ・ルジェリは、1559年に彼女の息子たちの未来を予言しています。

イギリスのジョン・ディーも、アステカ産黒曜石でできた鏡を使った占術により、エリザベス1世に顧問として重用されました。

ダーレン・アロノフスキー監督の『ブラック・スワン』(2011年)は、ナタリー・ポートマン扮するバレリーナが『白鳥の湖』の白鳥オデットと黒鳥オディールという2役を演じるうちに正気を失っていく物語。

彼女の内なる葛藤や無意識、そして自分の意思とかけ離れた闇の人格を楽屋の鏡が映し出します。

『ワイルド・アット・ハート』(1990年)で娘に異常な執着を示す母親が口紅を塗りたくるシーンや、『マルホランド・ドライブ』(2001年)の謎めいた記憶喪失の美女リタの印象的な姿が映し出されるシーンなど、デヴィッド・リンチ監督作品でも鏡はミステリアスな小道具としてしばしば登場します。

ヴィム・ヴェンダース監督の『パリ・テキサス』(1984年)の中で、ジェーン(ナスターシャ・キンスキー)がかつての恋人であり、息子の父親でもあるトラヴィスとマジックミラー越しに再会するシーンは、映画史に残る感動的な場面として有名です。

『パリ・テキサス』ヴィム・ヴェンダース監督(1984年)

「裸で鏡の前に立つことは
いくらでもできるけど、
中身は映らない」

村上春樹『鏡』

左)『太陽がいっぱい』ルネ・クレマン監督(1960年)のアラン・ドロン(右)『オルフェ』ジャン・コクトー監督(1950年)のジャン・マレー

鏡と自己愛

ナルシシズムの語源となったナルキッソス神話なしに鏡について語ることはできません。

泉の妖精リリオペとケフィソス川の河神の息子として生まれたナルキッソスは、眩いばかりの美しさを備えた狩人でしたが、水面に映る自分の姿に恋をし、その情熱が満たされずに枯れて死んでしまいます。

映画ではもちろん『太陽がいっぱい』(1960年)のトム・リプリー役アラン・ドロンの並外れた美しさがすぐに思い浮かびますし、ジャン・コクトー監督『オルフェ』でジャン・マレー演ずるオルフェが危険を顧みず鏡を越えて冥界の王女を追いかけていこうとするシーンも印象的です。

トルコのアナトリア地方で発掘された黒曜石の鏡は、紀元前6000年頃のものとされています。

人類が初めて鏡を作るきっかけとなったのは、水面に映る自身の姿を再現するためだったに違いありません。

その後、古代エジプトでは銅製、中国では青銅製、のちに錫製と鏡の素材は進化を遂げます。

現代でも一般的なガラス製の鏡が発明されたのは、ルネサンス期のヴェネツィアです。

そんな鏡は、今ではポケットにも収まる小さなオブジェとして、私たちの日常に寄り添い続けています。

「鏡は心の顔である」

フランスのことわざ

「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは……
この私よ!」

OFFICINE UNIVERSELLE BULY PRESENTS

菜園の香り

ボディとフェイスのお手入れに美容道具

〈ビュリー〉のブティック

お肌を健やかに整える植物オイル

コレクションしたくなる

贈りものに最適なギフトボックス

サヴォン・スゥペールファン〉に刻めるモノグラムデザイン

香りのバスソルト

お香と香木

お部屋を彩るルームフレグランス

数えきれないほどのラッピングとイニシャル

世界にただひとつの〈ビュリー

Close Icon

をカスタマイズ

Soap
Liquid error (snippets/buly-personalisation-modal line 223): product form must be given a product