オフィシーヌが描く、 100年後の世界

2025年1月10日

「愛の歌」（1914）
ジョルジョ・デ・キリコ

「やっぱり私たちが正しかったのでは？」そんな思いを抱きながら、私たちはいまという時代を生きています。〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉は、時間がそれを証明してくれると信じています。

そこで今回は、ジョージ・オーウェルが描いた近未来ならぬ、〈ビュリー〉が描く近未来の世界——過度な商業主義が衰退し、人との語らいが尊重される理想郷の物語をお届けします。

それはよく晴れた1月の寒い日のこと。時刻は午後1時。ヴィクトワールの来孫（らいそん）にあたるルイーズ・ドゥ・タイヤックは、吹きつけてくる強風にうつむきながら、ボナパルト通り6番地を彩る煌びやかなショーウィンドーの前を足早に通り過ぎました。

勇敢なビジネスパーソンだった高祖父母が開いた小さなブティック〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉は影響力のある巨大メゾンへと成長し、いまではこの通りのすべての建物を所有しています。

〈ビュリー〉はビジネスで大成功を収めただけでなく、パリ国立高等美術学校の校舎を買い取ってカリグラフィーを教える国立の美術大学を創設し、2050年3月の仮想通貨バブル崩壊以来危機的状況に陥っていたこの一帯のアーケード街と医科大学の施設を手に入れたことで、自分たちを理解しようとしなかった当時の伝統的な商業界を見事に見返したのでした。

「南仏の私の部屋」（1928）
ジョルジョ・デ・キリコ

真冬だというのに、建物の屋上では木々が生い茂り、豊かな緑が広がっています。屋上の緑の楽園は、空気を温める暖房システムによって常に温暖な気候が保たれているのです。

こうして〈ビュリー〉は、ジャコブ通りのブティックの屋上では浸漬液オイルの原料となる稀少な植物を栽培し、サンペール通りのオフィスの屋上ではアマゾン原産の植物を育てているのです。

そのあいだも、〈ビュリー〉が開発した新作フレグランス〈オー・キント〉が、香りの成分を直接肌に届ける5次元テクノロジーによって人々の生活を香りで彩っています。

オフィスにもブティックにもパソコンはありません。商品のレシートを作成したり、商品カタログをまとめたりといった楽しい紙の仕事は、いまではプロのカリグラファーによって行われているのです。

かくして時間が偉大なる勝者となる。

「イーゼルの上の太陽」（1973）
ジョルジョ・デ・キリコ

人々はめまぐるしい経済発展よりも、休息と太陽を楽しむ自分の時間を大切にするようになりました。いまや世界は、太陽光エネルギーによって回っています。

太陽に祝福されたかのような明るい表情は、生命のエネルギーに満ちあふれ、外見の美しさや若さだけがもてはやされる時代は終わりました。いまでは、光の力がすべてを支配しているのです。

マーケティングなるものは、2083年にジョルジーナ・マルシェという女性が指揮した消費者たちのクーデターによって消滅。フランス政府は、企業がイメージやキャッチコピーを使って消費者を洗脳することを法律で禁じました。

また、バランスと適切さという意味でも、節度のある生産サイクルが求められるようになりました。これによってブランドが新たに開発できる商品の数は、年に1回と定められました。

こうした時代の流れは、良識であること、四季への敬意、公平公正な取引にもとづく生産の勝利でもあります。

このような状況に後押しされた〈ビュリー〉はソーラープレーンに飛び乗り、何世紀にもわたって効果が認められた植物オイルやパウダーを求めて世界中の自然保護地区を旅しています。

人間という存在の耐えられない軽さ。

「現在と過去」（1936）
ジョルジョ・デ・キリコ

変わったのはそれだけではありません。

1日は24時間ではなく72時間となり、複数の睡眠によって区切られるようになりました。学びに対する意欲も復活しました。時間に余裕ができたおかげで、人々は好きなだけ勉強に没頭できるようになったのです。誰もが延々とペンを動かすようになり、人々は忍耐を覚えました。

“現在”は無限性を受け入れ、“過去”は記憶という形でその有限性を認めました。“遠いどこか”よりも“近場”が主流となり、かつては人々を活動へと駆り立てていたストレスは、スピードよりも時間をかけることを重視するこの世界で居場所を失いました。

社会をより良い場所にしてくれるものとして、熱意とコミットメント、才能、レジリエンスが尊ばれるようになりました。

〈ビュリー〉は、全世界に250店舗を展開するまでになってからも、喧騒に満ちた都会のオアシスとしての役割を保ち続けています。

かつては気取っているとみなされ、時には人を見下していると非難された〈ビュリー〉は（実際、その貴族的あるいは辛辣な物言いは、商業界の伝統を揺るがしました）時間をかけることの大切さを訴え続けることで、時間そのものと手を組んだのです。

両者の結合は計算されたものではありません。それはいくつもの小川がやがては大河となるように、何十年におよぶ紆余曲折の結果なのです。

「廃墟の中の会話」（1927）
ジョルジョ・デ・キリコ

未来永劫にわたって尊ばれる美の神殿である〈ビュリー〉は、語らいの楽しみを忘れてしまった21世紀の人々に時間をかけることの大切さを思い出してほしいと考えています。テレビやスマホの画面から流れてくる“真実”ではなく※、人との会話を楽しむ……そんな時間を大切にしてください。

忘れないでください。
ビッグブラザー・ビュリーが
あなたを見ています。

※ご安心ください。あなたがご覧になっているこのニュースレターの画面は例外です。

私たちは、2025年が皆さまにとって幸福と美、そして平和に満ちた素晴らしい1年になることを心よりお祈りしています。

それでは、100年後の再会を夢見て。

「詩人の楽しみ」（1912）
ジョルジョ・デ・キリコ

幸運の象徴、四葉のクローバー

新年の訪れを祝うとともに、そのハッピーなオーラを味方につけるべく、リップバーム〈ボーム・デ・ミューズ〉の刻印に、かの有名な植物のデザインが登場。

その植物とは、幸運の象徴として知られる希少な四葉のクローバーです。四葉のクローバーといえば、一年を最高のものにしてくれる愛と高潔さ、幸運、そして素晴らしい運命を引き寄せるラッキーアイテムです。

しっとり潤った唇で運命の女神に微笑みかけて、その恩恵に預かりましょう。

ボーム・デ・ミューズ