
人が旅をする方法は何千通りとあります。それと同じように、大海原に乗り出す理由も無数にあるのです。
私たちのなかには、快い幼少期の記憶に彩られた故郷に絶えず引き寄せられるものもいれば、未知の世界がもたらしてくれる喜びに進んで身を委ねる、怖いもの知らずの放浪者もいます。
さらには「動かずに旅をする」という人も──この手の旅人たちは物理的に移動する代わりにまぶたを閉じ、頭のなかで自由に思い描いた空想の国へと飛び立つのです。
旅のかたちはさまざまですが、旅が人間にとっての普遍的な行動であることに変わりはありません。なぜなら旅は、あらゆる世界の扉を開いてくれると同時に、ヴァカンスを楽しむひとりひとりの心のなかを蛇行しながら、その片隅に思い出を残してくれる親密なものだからです。
そうしたなかで〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉が惹かれるのは、移動の概念でもなければ、「環境を変えたい」という人間の本能的な必要性でもありません。
むしろ私たちは、旅が終わっても消えることのない、感覚的な余韻に魅了されるのです。
雨に濡れた植物の香りやお肌を愛撫する太陽の光のぬくもり、未知の果実がもたらしてくれる新たな味覚、遠くから漂う花のにおい、黄昏時の空の色、にぎやかな街の喧騒、海の歌声など……それは懐かしい記憶の残像よりも永く残り続ける、忘れえぬ“現在”でもあります。
旅をしているときは気にも留めないような小さな出来事も、ふとしたときに脳裏によみがえっては最愛の、それでいてはるか遠くに残してきた場所の楽しい記憶を呼び覚ましてくれるものです。
今年も待ち焦がれたヴァカンスの季節を迎えました。そこで私たちが今回のニュースレターのテーマに選んだのは「Carnet de voyage(旅日記)」。
島々の美しさと豊かさ、忘れられない故郷の記憶、未来の、あるいは過去の旅を讃えます。インド洋から地中海まで、海に浮かぶ4つの目的地を目指して、ささやかな世界旅行に出発しましょう。
「島とは、縮約された小さな大陸である」
ベルナルダン・ド・サン=ピエール