
『Past Times』(1997年)
ケリー・ジェームズ・マーシャル
季節の移り変わりとともに、お肌のニーズも変化します。
オリンポス山に雷が落ち、地上では熱波が猛威を振るう……私たちの頭上を吹き抜けて大気を包み込む、この常軌を逸した“熱き風”の原因は、いったい何でしょう? 天空から、人間たちが繰り広げる“お芝居”を注意深い眼差しで見つめている神々の怒りが、ついに爆発したのでしょうか?
--事実、そうかもしれません。というのも、神々の怒りには正当な理由があるからです。天空の塔から下界を見下ろしていた彼らはある日、地球という青い惑星が変調をきたしていることに気づきました。いまや四季のワルツに取って代わったのは、果てることのない夏のダンス。私たちも決して無関心ではいられない地球の警告とともに、乱れた足並みで踊り続けます。
そうしている間も、ふたたび空は画家のイヴ・クラインが愛したサファイアブルーの色彩を帯び、温度計の数値は上がり続けます。うだるような暑さによって眠りの神モルフェウスが愛してやまない休息の時間は奪われ、人々の動きまでもが緩慢に。誰もが口々に、はるか遠い浜辺への逃避行について語ります。
そうしたなかで、神々しくも恐れ知らずの7月が告げるのは、本格的な夏の再来。ですが、異常気象による猛暑が夏との再会の喜びを損なうことはありません。暑さに慣れるためのちょっとした習慣さえ身につければ、地上に生きるすべてのものたちは--動物と植物と人間、そしてもちろんお肌も--この季節を思う存分に楽しめるのですから。
夏の早期化・長期化は、私たちの服装にも変化をもたらしています。熱帯に近い地域では、つつましやかな春服は居場所を失い、フランネルの薄手のアイテムばかりが重宝されるようになりました。
人々は来たる夏の“ファル・ニエンテ(快い無為)”に備えて腕をまくり、厚手のスリッパからレザーサンダルに履き替えます。さらには、人々のデコルテまでもがあらわに。
ようやくお肌が日差しの温もりを感じられる季節がやってきたのです。夏と、この季節特有のゆったりとした雰囲気は、体だけでなく心までもが解き放たれたような感覚をもたらしてくれます。
どこまでも広がる青い空と満ち足りた心……私たちの世界では、すべてがより良い方向に進んでいるように思えるかもしれません。ですが、オリンポス山の雷と早期化・長期化する猛暑、ゲリラ豪雨や強風といった、神々からの警告に耳を傾けることをお忘れなく。
夏を楽しみながら、地球の美しさを慈しみましょう。地球がもたらしてくれる花々や果実、その種子は、私たちのお肌をより美しくしてくれる、かけがえのないものなのですから。
「この大地すべてが私の家だ。
太陽も月も星も、すべてが私のものなのだ」
植芝盛平

『ヴァイセンバッハの森番小舎』(1914年)
グスタフ・クリムト
夏を楽しむための
〈ビュリー〉流 サマー・ルーティン







